2019年の全英女子オープン覇者・渋野日向子選手。当時は、強気のパッティングが「壁ドン・パッティング」と言われたり、ラウンド中に食べていたおやつは売り切れが続発したりするなど、全英優勝以外にもさまざまな話題を提供しました。
全英女子オープンに優勝した後は主に米国LPGAでプレーをしており、厳しい米国ツアーで勝つために極端なレイドオフのスイングにするなどの挑戦をしてきましたが、目立った成果を得られませんでした。そのため、2023年からは再タッグを組んだ青木翔コーチとスイングトップの位置を高くする改造に取り組んでいます。
今回の記事では、渋野選手のクラブセッティング(2023年版)を紹介していきます。
渋野日向子プロのクラブセッティング(2023年版)
渋野日向子選手はピン(PING)とクラブ契約を結んでいます。ピンは他にも、鈴木愛選手やセキ・ユウティン選手、金谷拓実選手、蟬川泰果選手など数多くの選手と契約をしています。
ゴルフクラブメーカーと契約している選手は、パターやウェッジは他のメーカーを使うケースも多いのですが、渋野日向子選手含め、ピンと契約している選手は、すべてのクラブをピンで統一しているケースが多いのは注目すべき点です。
メーカー | クラブ名 | シャフト | |
ドライバー(10.5°) | ピン | G430 MAX ドライバー | VENTUS TR BLUE(S) |
フェアウェイウッド 3番(15°), 5番(18°) | ピン | G430 MAX | VENTUS TR BLUE |
ユーティリテイー 4番(22°), 5番(26°) | ピン | G430 ハイブリッド | フジクラTR HYBRID |
アイアン (6番~PW番) | ピン | i230 | フジクラMCI |
ウェッジ (50°, 54°, 58°) | ピン | グライド3.0 | フジクラMCI MILD105 |
パター | ピン | ANSER 2Ⅾ | |
ボール | タイトリスト | Pro V1x |
ドライバー:G430 MAX(ピン)
渋野日向子選手は2022年までは、ピン「G410 PLUS」を使用していましたが、2023年からは「G430 MAX」を使用しています。
「G410 PLUS」を使用していたときは弾道がやや低く、回転数が少なめでしたが、「G430 MAX」を使用するようになって弾道が高くなりました。スイング改造の目的と合致した弾道が得られるようになったのです。
また、より強く叩けるようにシャフトに「VENTUS TR BLUE」を装着した結果、安定した弾道が得られるようになったそうです。
「G430ドライバー」は渋野選手が使用するMAX以外に「SFT」と「LST」というタイプがあり、MAXは「ブレずに飛ぶ」、SFTは「ドロー設計」、LSTは「低スピン」という特性を持っています。もともとドロー系のボールで低回転が持ち球の渋野選手が「SFT」や「LST」ではなく「MAX」を選ぶのは当然でしょう。
ピンと契約している女子プロは14名の内、「G430 MAX」を使用しているプロが8名、「G430 LST」を使用しているプロが6名です。それぞれの選手が理想としている弾道によって使い分けをしていることがわかります。
また、飛距離の出る渋野選手がロフト10.5°を使っているのは、より高い弾道を求めているからだと考えられます。
フェアウェイウッド:G430 MAX(ピン)
フェアウェイウッドはドライバーと同じピン「G430 MAX」を使用しています。ただ、試合によっては「G430 LST」を使う場合もあるようですが、基本的には「G430 MAX」がクラブセッティングに入ることが多いです。
渋野選手のクラブセッティングの中には、3番ウッド(15°)と5番ウッド(18°)の2本がセッティングされていて、シャフトにはフジクラ「VENTUS TR BLUE」が装着されています。
2022までは「G425 MAX」を使用していましたが、”G430の方が飛距離性能が高い” ということからこちらのクラブに変更したのだそう。
フェアウェイウッドでも飛距離を求めたい方にはぴったりのクラブですね。
ユーティリティ:G430 ハイブリッド(ピン)
ユーティリティーには「G430ハイブリッド」4番(22°)と5番(26°) を使用する渋野日向子プロ。シャフトにはフジクラ「TR HYBRID」を装着しています。
このユーティリティーの特徴は「理想的な高弾道で、目標点をブレずに狙える」よう開発されていることであり、セカンドやサードショットからグリーンを狙う際や、狭いホールでのティーショットなどで大きく活躍します。
長い距離を稼ぎながらも左右のブレを気にせずショットしたい方は、ぜひこのクラブを試してみてはいかがでしょうか。
アイアン(6番~9番/PW):i230(ピン)
渋野日向子プロは、2022年秋から「i230アイアン」を使用しています(シャフトはフジクラ「MCI」)。
スイング改造をする前からこのアイアンに切り替えているのですが、この「i230 アイアン」に切り替えたことで、それまで低めだった渋野選手の弾道が高くなりました。渋野選手は高い弾道を求めていたので、この「i230」はその要望に応えたクラブといえます。
グリーンでピタっと止まるボールを打つためには「スピン量」「弾道の高さ」の2点が重要な要素になるため、厳しいコースコンディションの中でプレーするプロは、弾道の高さをシビアに追い求めます。
ピンと契約している男子プロも「i230」の使用比率が高いので、筋力があり比較的高い球を打ちやすい男子プロでも、「i230」の弾道は気に入っているのだと考えられます。
アマチュアゴルファーでも、ピンデッドにショットを放っていきたい方はぜひ。
ウェッジ:グライド3.0(ピン)
渋野日向子プロは、ウェッジには「グライド3.0ウェッジ」を採用しています。「グライド4.0」という新しい製品が出ているのですが、「グライド3.0」の方がスピンが入りすぎないという感覚的な理由から「グライド3.0」を使用しているようです。
「グライド3.0」にはソールの形状に「SS」、「EYE2」、「WS」、「TS」の4つの種類があり、渋野選手が使用している「SS」はロフトバリエーションが豊富で、どんなライからでも対応可能です。
パター:ANSER 2Ⅾ(ピン)
ピンは数多くのパターのラインアップがあり、渋野日向子プロは「ANSER 2Ⅾ」を使用しています。
渋野選手が全英女子オープンで優勝したとき、強気のパターが有名になりましたが、そのときに使っていたパターはピンの「シグマ2アンサー」というパターでした。
2022年に一度ピンの「PLD ミルド DS 72 パター」を使用した時期もありますが、2023年からは「シグマ 2 アンサー」と同じ形状でやさしさも兼ね備えた「ANSER 2Ⅾ」を使用しています。
ピンの公式サイトでは「アンサー2DはワイドなANSER型。ANSER 2よりヘッドが重厚で、座りも良い」と説明されています。
ボール:プロV1x(タイトリスト )
ボールは米国ツアーの使用率No1のタイトリスト「プロV1」シリーズの「V1x」を使用してます。「V1x」は「V1」に比べて高弾道になるように設計されています。渋野日向子プロは全英女子オープンでは「V1」を使用していましたが、2021年からは「V1x」に変更しています。
アマチュア市場のゴルフボールの売上は「V1」の方が売れているそうです。以前は「V1x」の方が売れていたのが、最近は「V1」が良く売れています。理由はいろいろとあるようですが、ソフトな「V1」の方が打感が良いとのことで逆転したとのことです。
渋野日向子プロのクラブセッティングは弾道の高さに特徴がある
2023年現在、渋野日向子プロはスイング改造に取り組んでいる最中であります。スイングが変わることに伴ってクラブセッティングにも多々変更が生じるはずですが、今のクラブセッティングを見てみると「弾道の高さ」に焦点を当てているようにも見えます。
ツアー使用のコースでグリーンキャッチをするためには「スピン量」と「弾道の高さ」の両方を求める必要がありますが、通常のゴルフ場では、このどちらかがあればグリーンで止まるボールになることが多いです。
渋野日向子プロのクラブセッティングは、高い弾道を求めるアマチュアゴルファーには参考になるセッティングとなっていますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。