岩井千怜(ちさと)プロは、姉である岩井明愛(あきえ)プロの双子の妹です。2022年、「NEC軽井沢72」でのレギュラーツアー初優勝後、翌週の「CAT Ladies」でも制し、ツアー初優勝から2週連続のVを達成し、史上3人目の快挙を成し遂げました。
さらに、2023年の「RKB×三井松島レディス」では、姉・明愛プロと山下美夢有プロとのプレーオフを制してツアー3勝目を挙げ、かねてからの夢であった “姉妹でのプレーオフで優勝争い” を、2020年のプロテスト合格からわずか3年で実現させました。
岩井千怜プロのドライバーの平均飛距離はJLPGA所属選手の中で9位で、姉の明愛プロよりもわずかに短い253ヤードですが、どちらも飛距離があることに定評があります。
今回は、岩井千怜プロのクラブセッティング(2023年版)を紹介します。
岩井千怜プロのクラブセッティング(2023年版)
岩井千怜プロは、姉である明愛プロとともにHONDAに所属しており、クラブやボールの契約も明愛プロと同じくヨネックス、ボールはダンロップ(住友ゴム)としています。
ヨネックスは以前から石川遼選手がプロになる前からサポートを行っており、彼がプロに転向した際に契約を結んだことで広く知られています。ただし、現在は石川遼プロとの契約は終了しています。
ヨネックスは「チームヨネックス」として、岩井姉妹以外にも若林舞衣子プロなどとも契約しています。
メーカー | クラブ名 | シャフト | |
ドライバー(9.0°) | ヨネックス | EZONE GT 425 | REXIS KAIZA-L(S) |
フェアウェイウッド 3番(15°) | ヨネックス | EZONE GT | REXIS KAIZA-2K (S) |
ユーティリティー 3番(19°) | ヨネックス | EZONE FS | REXIS KAIZA-U(S) |
アイアン 6番(23°) | ヨネックス | EZONE FS | REXIS KAIZA-i(S) |
アイアン (5番~PW番) | ヨネックス | EZONE CB511 | REXIS KAIZA-i(S) |
ウェッジ (50°, 54°, 58°) | ヨネックス | EZONE W501 | NSプロ950GH(S) |
パター(2023年前半) | キャロウェイ | オデッセイ ホワイト・ホット OG #1WCS | |
パター(2023年後半) | キャロウェイ | オデッセイ ホワイト・ホット ブラック FIVE CS | |
ボール | ダンロップ | スリクソン Z-STAR XV |
ドライバー(9.0°):EZONE GT 425(ヨネックス)
「EZONE GT」シリーズは2022年3月にリリースされたドライバーで、「GT425」と「GT450」の2つのモデルが存在します。「GT425」はヘッドの容積が425cc、一方で「GT450」は450ccとなっており、岩井千怜プロは「GT425」を採用しています。(姉・明愛プロはより大型のGT450を使用)
「EZONE GT」シリーズは主にアスリート向けにデザインされたドライバーであり、「GT425」は比較的小型のヘッドを搭載して操作性を向上させつつ、「GT450」と同様に分厚いなインパクトを生むように構築されています。
なお、ヨネックスはテニスやバドミントンのラケットメーカーでもあるためカーボン加工技術が非常に優れており、この技術を駆使した独自のシャフトが「REXIS KAIZA(レクシスカイザ)」です。
ヨネックス社は「REXIS KAIZA-L」の特長を「手元側に強い剛性があり、スイングの切り返しをしっかりと受け止め、一方で先端部が迅速に反発し、高い弾道で飛距離を向上させる弾むようなシャフト」と説明しています。
フェアウェイウッド(15°):EZONE GT(ヨネックス)
フェアウェイウッド(スプーン)には、ドライバーと同じく「EZONE GT」シリーズを採用しています。
「EZONE GTフェアウェイウッド」の最も注目すべき特徴は、フェースのミーリング(溝)が横ではなく斜めに配置されていることです。これはヨネックスが独自に開発した「スラントグルーブ」と呼ばれる技術です。この斜めのミーリングにより、ボールの横滑りが抑制され、直進性の高いショットを容易に打つことができます。
シャフトには、ドライバーと同じく「レクサスカイザシリーズ」の2Kが使用されています。
ユーティリティー(19°):EZONE FS(ヨネックス)
岩井千怜プロは、「EZONE FS ユーティリティー」の3番(19°)をクラブセッティングに組み込んでいます。
一方で、姉・明愛プロはユーティリティーをセッティングせず、代わりにフェアウェイウッドの5番(18°)を使用しています。これら二人の違いは、飛距離を追求しているのか、それとも正確性を重視しているのかにあり、岩井千怜プロは特に正確性に焦点を当てているようです。
なお、この「FSユーティリティー」もフェアウェイウッド同様に、斜めのミーリングであるスラントグルーブが採用されています。
アイアン(6番, 23°):EZONE FS(ヨネックス)
姉・明愛プロと同じく、岩井千怜プロも「EZONE FSアイアン」の6番(23°)をセッティングしています。このアイアンをクラブセッティングに入れることにより、3番ユーティリティー(19°)5番アイアン(25°)の間をカバーしています。
通常の6番アイアンのロフト角は28°程度であり、ロフト角が23°と少なくなっている「EZONE FSアイアン」はストロングロフト型のアイアンと呼べます。
ロフトが立っている分、通常のアイアンよりも飛距離は出しやすくなる上、比較的寛容性が高くなっているので、ロングアイアンが苦手な方は、このようなアイアンを使用してみても良いかもしれません。
アイアン(5番~9番, PW):EZONE CB511(ヨネックス)
「EZONE CB511」の特長は、バックフェースに搭載されたグラファイト制振材であるG-BRID構造です。この構造により、振動を抑えつつ打感を向上させるようにデザインされています。
岩井千怜プロは、「EZONE CB511」の5番からPWを使用しており、このアイアンセットの6番は28°のロフト角となっています。要するに、岩井千怜プロは「FS(6番23°」)と「CB511(6番28°)」の2つの6番アイアンがクラブセッティングに入っているということです。
ウェッジ(50°, 54°, 58°):EZONE W501(ヨネックス)
ウェッジに関して、岩井千怜プロは姉の明愛プロとまったく同じウェッジを使用しています。
岩井姉妹が使用する「EZONE W501」ウェッジは、世界初のマイクロコンベックスフォージド(微細凸鍛造)技術を採用したユニークなウェッジであり、この製法では、フェース面の溝とその間の平面に、0.025mm以下の微細な凸ラインを鍛造しています。
この革新的な技術により、スピンコントロール性能が格段に向上しています。微細な凸部分が表面の水分を排除するため、雨の影響や深いラフでも芝の水分の影響を受けにくくなります。
パター:オデッセイ ホワイト・ホット OG #1WCS(キャロウェイ)
2023年の前半戦では、岩井千怜選手は「オデッセイ ホワイト・ホット OG #1WCS」を使用して2勝を達成しました。
彼女は2022年にも同じパターを使用していましたが、2023年の後半戦では「WHITE HOT BLACK FIVE CS」を使用するために、「大東建託いい部屋ネットレディス」から新しいパターへのテストを開始しています。
パター:オデッセイ ホワイト・ホット ブラック FIVE CS(キャロウェイ)
キャロウェイは、「WHITE HOT BLACK FIVE CSの最大の特徴は、全体が力強いブラックで統一されていること」と述べています。
このパターは従来の「ホワイト・ホット」と同様に高いパフォーマンスを発揮し、心地良い打球感、打球音、安定したボールの打ち出しと転がりを実現します。
その上、全体がブラックに仕上げられたデザインにより、他の色が目に入らずパターに集中できるのか使用するプロゴルファーも増加しています。
ボール:スリクソン Z-STAR XV(ダンロップ)
スリクソンの「Z-STAR」シリーズには「Z-STAR」、「Z-STAR◇(ダイヤモンド)」、「Z-STAR XV」の3つのモデルがあります。
「Z-STAR XV」は特に飛距離に焦点を当てたボールとなっている一方、「Z-STAR◇(ダイヤモンド)」はアイアンのスピン性能を向上させた特別なボールであり、グリーンでの高いスピン性能を求めるプロゴルファーによる使用者が増加しています。
「Z-STAR XV」を使用して2023年のツアーで優勝した選手には、姉の岩井明愛プロの他、菅沼菜々プロ、小祝さくらプロ、山下美夢有プロ、青木瀬令奈プロなどがいます。
女子プロは飛距離を重視した「Z-STAR XV」の使用が目立つ一方、男子プロはスピン性能を強調した「Z-STAR」や「Z-STAR◇を」選択しているプロも多く(稲森佑貴プロや星野陸也プロ、生源寺龍憲プロなど)、これは注目すべき点ではないでしょうか。
契約フリーの選手が選んでいるクラブはアマチュアにも参考になる
ヨネックスを使用している岩井千怜プロのクラブは、一般のゴルフショップでなかなか見かけません。
これはシェアが低いためですが、近年の岩井姉妹の活躍によりヨネックス人気が着実に高まっています。興味深いことに、クラブ契約を結んでいる女子プロの中でミズノを好んで使用する選手が多い中、最近ではヨネックスのアイアンを選ぶ選手が急増しているとのことです。
契約選手は通常、契約先のクラブを使用することが求められますが、契約を結んでいない自由な選手は自分に合ったクラブを選択することができます。つまり、彼らは自分の好みに合わせてさまざまなクラブを選ぶことが可能です。契約フリーの選手が好んで使用するクラブを調査することは、ゴルフ愛好者にとって有益な参考になります。
ぜひ岩井千怜プロのクラブセッティングを参考にしてクラブ選びをしてみてはいかがでしょうか。