黄金世代、プラチナ世代、ミレニアム世代など、国内女子ゴルフツアーにおける若手の活躍は輝かしく、2023年も新しい世代の選手が台頭し、国内女子ゴルフツアーの人気に拍車をかけています。
今回ご紹介する吉田優利プロも、近年台頭する若手女子プロゴルファーの代表の1人。2021年に2勝して脚光を浴びました。
2022年こそ優勝はありませんでしたが、賞金ランキングは6位で終え、翌年2023年5月に開催された「ワールドレディス サロンパスカップ」では、国内メジャー大会優勝も成し遂げました。
2000年代生まれ・プラチナ世代の吉田優利選手は、どのようなクラブセッティングで国内女子ゴルフツアーを戦っているのでしょうか。
吉田優利プロのクラブセッティング(2023年版)
吉田優利プロはブリヂストンゴルフと契約をしており、ほとんどのクラブとボールはブリヂストン製品を使用しています。
メーカー | クラブ名 | シャフト | |
ドライバー(9.5°) | ブリヂストン | B1ドライバー | スピーダーNX GREEN 50S |
フェアウェイウッド3番(15°) | テーラーメイド | SIM2 MAX | スピーダーNX GREEN 50S |
ユーティリティ(19°, 22°) | ブリヂストン | TOUR B JGR HY | ATTAS EZ 75S |
アイアン(5番 ) | ブリヂストン | 222CB+ | KBS TOUR 90S |
アイアン(6番~PW) | ブリヂストン | 221CB | KBS TOUR 90S |
ウェッジ(48°) | ブリヂストン | BRM | KBS TOUR 90S |
ウェッジ(52°, 58°) | ブリヂストン | BRM2 | KBS TOUR 90S |
パター | オデッセイ | O-Worksブラック#2W | |
ボール | ブリヂストン | TOUR-B X |
ドライバー:B1 ドライバー(ブリヂストン)
ブリヂストンとクラブ契約を結ぶ吉田優利プロは、ドライバーには「B1(ブリヂストン)」を使用し、シャフトにはフジクラ「スピーダーNX GREEN 50S」を装着しています。
ブリヂストンのBシリーズには「B1」と「B2」があり、B1は操作性、B2は直進性に優れています。また2022年にB3がラインアップされました。B3はヘッドスピードが40m/s未満のゴルファーに適しているといわれています。
吉田優利プロはあまりクラブを変えないことで有名ですが、装着しているシャフトは「ベンタスブラック」から「スピーダーNX GREEN」に変更しました。変更した理由としては、クラブを振り抜いた時の感覚が「スピーダーNX GREEN」のほうが良かったからだそうです。
フェアウェイウッド(3番):SIM2 MAX(15°)(テーラーメイド)
吉田優利プロは、フェアウェイウッドだけはテーラーメイド「SIM2 MAX」を長く使用しています。
プロがメーカーとクラブ契約を結ぶときは、14本全部というケースはほとんどなく、11本や12本を契約して、残りは自分の好きなクラブを選択できるそうで、吉田優利プロの場合は、パターと3Wにブリヂストン以外のクラブを入れています。
多くのプロゴルファーは、パターやウェッジに好みのクラブを選択することが多いのですが、吉田優利プロは、パター以外に3Wだけテーラーメイドということは、3Wにか強いこだわりをもっているのかもしれませんね。
ユーティリティ(3-4番):TOUR B JGR HY (19°, 22°)(ブリヂストン)
吉田優利プロは、ブリヂストン製のユーティリティ「TOUR B JGR HY」の19°(H3)と22°(H4)を使っています。(シャフトは「ATTAS EZ 75S」を装着)
このユーティリティーはつかまりが良く、コントロール製の高いモデルです。同じブリヂストン契約の古江彩佳選手もこの「TOUR B JGR HY」を使っています。
2023年9月に新モデルが発売される予定であり、新モデルが出た後に新旧モデルのどちらを使用するのかも楽しみですね。
アイアン(5番):222CB+(ブリヂストン)
女子プロ選手の中では珍しく5番アイアンを使用する吉田優利選手。
その上5番アイアンにだけは、6番〜PWの「221CB」とはシリーズが異なる「222CB+」を使用しています。
「222CB+」の特徴としては、「221CB」よりすこし大きめであり、やさしさを加えた設計により、ハイボールが打ちやすくなっている点。ユーティリティーではなく、あえてアイアンを使用することも吉田選手の一つのこだわりなのでしょう。
アイアン(6番-PW):221CB(ブリヂストン)
ブリヂストンの「221CB」は、アスリート向けのキャビティーアイアンで、シャフトには「KBS TOUR 90S」装着しています。
「KBS TOUR 90S」はアイアン用のシャフトとしては数少ない先調子のシャフトであり、ボールが高く上がりやすい性質を持っています。
そのため、シャープに振り抜きたいゴルファーや、非力なゴルファーなどに向いているシャフトと言えます。
吉田優利プロは、アイアンのみならずウェッジにまで「KBS」のシャフトを装着しているため、統一した振り感とやさしさを大切にしているのでしょう。
ウェッジ:BRM(48°)、BRM2(52°, 58°)(ブリヂストン)
吉田優利プロは、ウェッジにはブリヂストン「BRM」を使用しています。48°が初代「BRM」であることに対し、52°と58°が「BRM2」であるのは、溝がすり減ったため「BRM」から入れ替えたという理由だそう。
また、吉田優利選手向けのプロトタイプには「無限チューン」という技術が採用されているようで、フェースのスコアライン設計を1000分の1ミリ台まで見直して、ルールの限界値に限りなく近い溝設計になっているとのこと。
現在、この仕様のクラブは「B-limited BRM フルミルドウェッジ」として販売されています。
パター:O-Worksブラック#2W(オデッセイ)
吉田優利プロのデビュー当時、国内女子ツアープロではこの「O-Works」の使用率が非常に高まりました。吉田優利選手は、当時からこのパター(=O-Works ブラック #2W)を使い続けています。
近年の女子ツアーではテーラーメイド「トラス」の使用比率が高まっているのに対して、「O-Works」を使い続けているのは、クラブを変えない吉田優利選手ならではですね。
ボール:TOUR-B X(ブリヂストン)
国内女子ツアーで活躍するプロゴルファーの使用ボールは、ブリヂストン の「ツアーB」シリーズ、スリクソン の「Z-STAR」シリーズ、タイトリスト の「プロV1」シリーズが大半です。
「ツアーB」シリーズには「X」と「XS」があり、「X」は飛距離、「XS」は高スピンを目指したボールです。特に「XS」はタイガー・ウッズが開発に関与したと言われていて、タイガー自身も「XS」を使用してきました。しかし、2022年から「X」に変更しています。やはりプロでもより飛ぶボールを求めるようになってきているのでしょう。
ブリヂストンとボール契約をしている選手の中で、「TOUR-B X」の使用者は女子では吉田優利選手やアマチュアの馬場咲希選手など14名、「TOUR-B XS」の使用者は古江彩佳選手など8名で「TOUR-B X」の使用者の人数が上回っています。
(参考:ブリヂストン公式サイト:https://www.bs-golf.com/bs-products/bsg/ball_xxs/)
クラブセッティングを変えないことが吉田優利プロの安定感の秘訣
今回の記事では、国内女子ツアーで活躍する吉田優利プロのクラブセッティングを紹介しました。
吉田選手自身はクラブセッティングを変えないことに、こだわっているわけではないそうです。
ではなぜ、クラブを変えないか。それはクラブを変えると慣れるまでに時間がかかるので、その時間を考えると慣れているクラブセッティングを使い続けるほうが有利と考えているから。特にパターは感覚がとても大事です。吉田選手が「O-Works」を長く使い続けているのは、感覚が狂ってしまうのを避けることも要因の一つかもしれません。
2023年も昨年と同じように安定した結果を残している吉田優利選手、2023年の終了時の結果を期待しましょう。