2002年生まれの久常涼選手は、岡山・津山東中3年時の2017年に日本ジュニア(12~14歳の部)で優勝しています。作陽高校に進んだ2018年には、1年生で全国高校選手権を制し、翌19年はナショナルチームのメンバーにもなりました。
高校3年の2020年にプロ転向。2021年の国内男子・ABEMAツアーでは年間3勝を達成し、史上初めての特別ルートでの2022年レギュラーツアー出場権獲得選手となりました。
2022年11月にはDPワールドツアー(欧州ツアー)のQTに挑戦し2023年の出場権を獲得。そして2023年にあっさりと「カズーオープン・ド・フランス」でDPワールドツアー初優勝を飾ってしまいます。DPワールドツアーの日本人優勝は青木功選手、松山英樹選手に続く3人目の快挙でした。
今回の記事では、日本男子ゴルフ界の将来を背負って立つであろう久常涼選手のクラブセッティング(2024年版)を紹介します。
プロゴルファー・久常涼のクラブセッティング(2024年版)
久常涼プロは総合物流会社・SBSホールディングに所属しています。
クラブやボールなどの用具はテーラーメイドと契約をしていて、パター以外はすべてテーラメイド製のクラブセッティングとなっています。
メーカー | クラブ名 | シャフト | |
ドライバー(10.5°) | テーラーメイド | ステルス2 プラス | VENTUS RED 70X |
フェアウェイウッド(4番16.5°) | テーラーメイド | ステルス2 プラス | VENTUS BLACK 70X |
フェアウェイウッド(7番21°) | テーラーメイド | ステルス2 プラス | VENTUS BLACK 80X |
アイアン(4番~PW) | テーラーメイド | P7MC | プロジェクトX (6.5) |
ウェッジ(52°) | テーラーメイド | MG(ミルドグラインド) 4 | プロジェクトX (6.5) |
ウェッジ(56°) | テーラーメイド | MG(ミルドグラインド) 3 | DG EX ツアーイシュー(S200) |
ウェッジ(60°) | テーラーメイド | MG(ミルドグラインド) 4 | DG EX ツアーイシュー(S200) |
パター | キャロウェイ | オデッセイ ブラック・シリーズ ix #9 | |
ボール | テーラーメイド | TP5x |
ドライバー(10.5°):ステルス2 プラス(テーラーメイド)
テーラーメイドの「ステルス」シリーズは「SIM2」に代わるフラッグシップモデルとして2022年に登場。2023年には「ステルス2」シリーズが発売されました。
「ステルス2」シリーズには3つのモデルがあり、「ステルス」はスタンダードで幅広いゴルファーが対象、「ステルスHD」は球のつかまりのよさを求めるゴルファー向け、そして久常涼プロが使用している「ステルスプラス」はロースピンのアスリート向けに開発されました。
「ステルス2」シリーズはカーボンソールとカーボンコンポジットリングを採用し、慣性モーメントを飛躍的にアップさせることでミスに対する許容性とショットの再現性をさらに向上させました。また、「ステルスプラス」ドライバーにはシリーズの中で唯一スライディングウエイトが搭載されており、10グラムのウエイトを左右に動かすことで重心位置の調整が可能です。
久常涼プロは、男子プロの中では珍しくロフト角10.5°のドライバーをクラブセッティングに入れています。欧州ツアーでは10°のドライバーを使っていたのですが、2023年のZOZOチャンピオンシップでは10.5°のものを使って、ハイドローのボールを軸に攻めのゴルフをしていたことが印象的。その際にはスライディングウエイトの調整も行っていたようです。
フェアウェイウッド(4番16.5°, 7番21°):ステルス2 プラス(テーラーメイド)
久常涼プロは、フェアウェイウッドにはドライバーと同じテーラーメイドの「ステルス2プラス」をセッティングしています。
「ステルス2 プラス フェアウェイウッド」には、スイートエリア拡大のための「アドバンスド ICTフェース」を採用したことで飛距離と寛容性を高めています。
プロの多くはクラブセッティングに3番ウッド(スプーン)を入れていますが、久常選手は4番ウッド(バフィー)を入れています。そして通常の4番ウッドのロフト角より立っている角度に調整をしています。
また、欧州ツアーでは通常7番ウッドをしていますが、状況に応じて長年使用しているスリクソン「ZX5 アイアン」の3番を入れることもあります。
アイアン(4番~PW):P7MC(テーラーメイド)
「P7MB」と「P7MC」は2023年1月に発売され、新たに採用されている「コンパクト グレイン フォージング」はテーラーメイドが独自に開発したものです。この製法は2,000トンのプレス機を使って軟鉄を5回鍛造するというもので、より緻密で一貫したフィーリングが得られます。
またフェース面はテーラーメイドのウェッジにも用いられる「精密マシンミルド製法」で加工。精度の高いフェースによりボールコントロールを容易にしています。
久常涼プロは「P7MB」と「P7MC」のうち、マッスルバックアイアンに寛容性を融合したマッスルキャビティアイアンの「P7MC」をクラブセッティングに入れています。
ウェッジ(52°, 56°, 60°):MG4, MG3(テーラーメイド)
テーラーメイド「MG4(ミルドグラインド4)ウェッジ」は2023年9月に発売されました。久常涼プロも順次、前作の「MG3」から「MG4」に切り替えていますが、56° のみまだ「MG3」を使用しています。
MG4には『HYDRO SPIN FACE』が搭載されて、あらゆるコンディションで狙い通りのスピン性能を発揮します。またフェース面の溝をより深く刻み込むことが可能となった新たなレーザーエッチング技術でフェース面の溝の消耗に強くなっています。
パター:オデッセイ ブラック・シリーズ ix #9(キャロウェイ)
「オデッセイ ブラック・シリーズ ix #9」は、日本のツアープロから上がる声をベースに、プロの求めるタッチ感や距離感、方向性を実現した日本モデルのパターです。
ツアープロトタイプインサートを採用して安定した転がりが期待でき、ブラックPVD仕上げヘッドにより太陽光の反射を防げるのでパッティングに集中できます。
ボール:TP5x (テーラーメイド)
テーラーメイド独自の5層構造をもった「TP5x」では、新設計の「ツアーフライトディンプルパターン」が採用され、インパクト直後から空気抵抗が低減、最高到達点がより遠くへ伸び、さらに最高到達点からの落下時には揚力を増加させたことでキャリー飛距離が大幅に伸びました。
またソフトなキャストウレタンカバーを追加しているので、グリーン周りのショットでのスピン量の増加と打感が向上しています。
躍進を続ける久常涼プロの活躍に今後も期待!
久常涼プロのクラブセッティングの中で、3番ウッドを使わずに4番ウッドを使用しているのはアマチュアにはとても参考になります。
アマチュアゴルファーの多くは、当然のことのように3番ウッドをセッティングしていますが、3番ウッドは14本あるクラブの中で最も難しいクラブと言われています。飛距離と打ちやすさを考えたときに久常涼プロのように4番ウッドを選択しても良いかもしれません。
久常涼プロは、短期間で日本ツアーから欧州ツアーへの挑戦権を獲得したので、日本で名前を見かけることはあまり多くありませんでしたが、「カズーオープン・ド・フランス」で優勝したことで一気に知名度が上がりました。今後は、米PGAツアーへの参戦も増えてくるはずなので、ぜひ久常涼プロの活躍を期待して見てみましょう。